スポイラー流出と『暴言』問題について

 今現在騒いでいる人は、もう一度、発端となった彼の記事と、カイル・マーレイ()、そしてマーク・ローズウォーター()各氏の記事を読み返してみてください。
 そこに書かれていることを、冷静に、偏見を交えずにそのまま読み取ってください。
 そして、それを踏まえて、以下に述べる私の見解を聞いてください。

 「問題はそのサイト自身ではない。問題は、そのサイトに情報を渡す人々だ。(My problem isn't with the sites. My problem is with the people who provide information to the sites.)」
 私が訳すなら、「私が問題視しているのはサイトではなく、そのサイトに情報を渡す人たちだ」となるでしょうか。
 こう書いてあるのを見て、「サイトにはまったく問題はなく、大手を振ってリーク情報を流していいのだ」と思いますか?
 「サイトにも問題はあるが、それ以上にそのサイトに情報を流す人たちが問題なのだ」と読解するのが常識的な読み方というものでしょうか。

 『暴言』についてですが、情報を歓迎する人を「盗品売買の一端に関っている」と言い切ってしまっているのであれば、「それらを許可なく受け取った人物は、盗品を受領しているのだ(anyone who receives them without permission is in receipt of stolen goods.)」というマーケティング・ディレクターの見解を踏襲したものではあっても、確かにユーザーを犯罪者扱いしたものであり、暴言です。
 しかし、氏の記事では、そうは言っていません。
 あくまでも、「それって、盗品売買と一緒じゃないですか? スポイラーを見て喜んでる方々、あるいはそのスポイラーを翻訳してネットに流してる方々は、盗品を盗品と承知して、その一端に関わってるんじゃないんですか?」と問いかけているだけです。
 実際、この前の段落で私は「こう書いてあるのを見て、『サイトにはまったく問題はなく、大手を振ってリーク情報を流していいのだ』と思いますか?」と書いていますが、これは「こう書いてあるのを見たら、サイトにはまったく問題はなく、大手を振ってリーク情報を流していいと思うものです」と主張しているわけではありません。
 つまり、「こうは考えられないか?」と問いかけるのは、「こうだ」と決めつけているわけではないのです。

 ところで、違法行為をしてまで情報を手に入れ、流すには、それなりの理由があるはずです。
 そして、その理由というのは、おそらく、まだ情報を知らない人に喜んでもらいたいというものだと考えられます。
 ですから、情報を歓迎する人がいなければ情報を流す人がいなくなる(かもしれない)、という仮説は成り立ちますし、その仮説について一般に考えてもらうための手段として、この問いかけは非常に有効なものだったと言えるでしょう。
 実際、この発言を受けて、複数のブログやスレッドに渡り、大きな議論の渦が出来ているわけですから。

 もちろん、マジックに興味があり、楽しみたいと情報を探している人なのですから、零れてくる情報が公式なものであれ非公式なものであれ、興味を示し、話のタネにしたいと思うのは自然な感情ですし、それを咎めるべきかどうかは難しいところです。
 無秩序なリークを歓迎しない、ということは、秩序立てたリークにも興味を示さない、つまり、新セット発売に興味を示さない、に繋がるとも考えられますから、一概に是だ非だと割り切れるものではありません。
 言い換えると、私は、今回の彼の発言を自分たちに対する誹謗中傷だと感じた人も、また、マジックを愛しているのだと思っています。

 ところで、カード・リストのことを、「スポイラー(spoiler)」と言います。
 原義は、「台なしにする人」「ネタバレ」「略奪者」「泥棒」。
 英々辞典を引くと、「Spoilには、過剰にわがまま放題にさせることで人格や性質、性格に悪い影響を及ぼすという意味が含まれている(Spoil implies excessive indulgence that adversely affects the character, nature, or attitude)」と書かれています。
 カードの全データの含まれたリストは、それを見ることで「マジック」の本来の楽しみ方を失わせてしまう過剰な情報である、というニュアンスを含んだ「スポイラー・リスト」という名前で、ウィザーズも呼んでいますし、一般にも呼ばれているわけです。
 一言で言うと、英語では、「スポイラー・リスト」という呼び名自体が後ろ暗さを含んでいます。
 スポイラーを見て喜んでいる(いた)人たちは、こういうことを考えたことがありましたか?
 なかったのなら、あの発言はその風潮に一石を投じたという意味で、意味はあったのでしょう。

 みらこー氏の「それって、盗品売買と一緒じゃないですか? スポイラーを見て喜んでる方々、あるいはそのスポイラーを翻訳してネットに流してる方々は、盗品を盗品と承知して、その一端に関わってるんじゃないんですか?」という問いかけは、スポイラーを当たり前にあるものとして受け取り、ただ喜んで見ていていいのか、という問題提起だった。
 それが、現段階での私の考えであり、それに基づいて、私は彼の発言を支持します。